研究課題/領域番号 |
19590700
|
研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
岡崎 真理 城西大学, 薬学部, 助教 (50272901)
|
研究分担者 |
日比野 康英 城西大学, 薬学部, 教授 (10189805)
神内 伸也 城西大学, 薬学部, 助手 (80433647)
|
キーワード | 酸化ストレス / ストレプトゾトシン糖尿病 / 霊芝菌糸体培養培地抽出物 / 抗酸化食品 / 中大脳動脈閉塞術(MCAO) / グルタミン酸トランスポーター / 炎症 |
研究概要 |
本研究の目的は、糖尿病の中枢神経障害を予防・改善する優れた抗酸化作用をもつ食品を探索し、その有効性と安全性とを科学的に検証することである。また、糖尿病態における脳細胞の脆弱性形成メカニズムを明らかにすることを目的としている。今年度の研究実施計画に従い、糖尿病態の脳梗塞モデル動物の脳機能障害に対する抗酸化食品の効果の検討および糖尿病態モデル動物の脳各部位におけるグルタミン酸トランスポーターやその他炎症関連因子の遺伝子/蛋白質発現量の測定を行った。その結果、強い抗酸化活性をもつ霊芝菌子体培養培地抽出物が糖尿病マウス(1型および2型)やラット(1型)における酸化ストレス状態および高血糖を改善すること、および一過性脳虚血に対して強い脳保護効果を示すことを明らかにした。糖尿病態における虚血性脳障害の増悪メカニズムを解明するため、炎症関連因子の遺伝子発現を解析したところ、糖尿病ラットの皮質では、IL-1β、TNF-α、および血液脳関門の破綻に関与するmatrix metalloproteinase-9のmRNA量が虚血処置前においてすでに有意に増加していることが明らかとなった。さらに、虚血再灌流によるこれら炎症関連因子の発現が糖尿病態では著しく増強された。これらの結果から、糖尿病ラットの皮質では持続的高血糖によって炎症反応が誘発されており、これが虚血再灌流によって急激に活性化すると推察された。また、グルタミン酸トランスポーターについては、EAAC1の遺伝子発現が糖尿病ラット脳で有意に減少していることが明らかになった。EAAC1はグルタミン酸だけ;でなく、グルタチオンの成分であるシステインの細胞内への輸送に関わっていることから、EAAC1の減少が酸化ストレスの増大に寄与している可能性がある。また、糖尿病態の虚血再灌流後早期における炎症反応の増強に、DNA結合蛋白質であるHMGB1が関与している可能性も見出した。さらに現在、バイオインフォマッティックスを用い、酸化ストレスによるグルタミン酸トランスポーター転写制御の分子メズニズムの検討を行っている。
|