研究課題/領域番号 |
19590701
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
渡辺 賢治 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (70191757)
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研究分担者 |
辨野 義巳 理化学研究所, バイオリソースセンター微生物材料開発室, 室長 (40087599)
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キーワード | アレルギー / 免疫寛容 / 腸内細菌叢 / IgE / Toll like receptor / 1型インターフェロン / ヒートショック蛋白 |
研究概要 |
1.抗生物質投与によるアレルギー発症モデルの作成アレルギーモデルとして、卵白抗原(OVA)、アジュバントとして水酸化アルミニウム(Alum)を用いて免疫ならびに2回ブースターをかけることによりIgEが上昇するマウスモデルを作成した。これに先立ちOVAを1回経口投与すると免疫寛容が成立する。しかしながら生後早期より幼若マウスに抗生物質を4週間投与し、成熟後にOVA感作によってアレルギー(IgE産生)を誘導すると、腸内細菌叢の破綻により免疫寛容自体が成立しないであろうとの予測のもと実験を進めた。しかしながら免疫寛容誘導以前に抗生剤投与マウスにおいてはOVAによる感作自体が抑制されており、免疫寛容の破綻も観察されなかった。この結果から、抗生物質投与群では、非投与群に比しTh2サイトカイン産生にも異常が認められ、アレルギー疾患に関与する免疫システムが幼少時の抗生物質投与によって攪乱されることが示された。そこで研究の方向性として、腸内細菌の破綻がどのような機序により抗体産生の抑制につながるのかについての検討を開始した。2.無菌マウスに対する漢方薬の投与抗体誘導に対する腸内細菌叢の関与について検討を行うため無菌マウスに漢方薬(十全大補湯)を投与し、遺伝子発現がどのように変化するのかについての検討をし、解析した。その結果、漢方薬が腸内細菌を介して生体防御に重要な役割を果たす熱ショック蛋白質を誘導することを見出した(論文掲載済)。また、腸内細菌がtype 1 IFNシステムの成熟に重大な役割を果たすこと(論文受理済)、漢方薬が腸内細菌のこの作用を一部代替することを見出した。
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