研究課題
1)抗生物質投与によるアレルギー発症モデルの作成幼若期のマウスに抗生剤を投与し、成長時の免疫反応について検討した。抗生剤は各種単剤で使用し、使用量は腸内細菌の網羅的遺伝子解析(T-RFLP法)によって腸内細菌の変動を認める濃度とした。また、抗生剤投与マウスにおいて、オボアルブミン(OVA)による経口免疫寛容はコントロール群と同様に誘導されたが、一方で、OVA反復刺激による抗体産生能に異常が認められた(Fig.6)。またこの免疫異常は抗生剤を中止した成長後も継続して観察され、幼少期の抗生剤使用が免疫発達に影響を及ぼすことが示唆された。同モデルにおいて脾臓細胞のflow cytometryの結果からT細胞、B細胞の比に有意差は認められず、またコントロール、抗生剤投与群ともにCD4/CD25陽性細胞の存在はとらえられなかった。2)無菌マウスに対する漢方薬の投与抗体誘導に対する腸内細菌叢の関与について検討を行うため無菌マウスに腸内細菌叢を0週、5週でSPFマウスと同居させ、常在菌を定着させた。大腸、小腸、肝臓、脾臓における遺伝子発現をGeneChipにて網羅的に解析し、MetaGene Profiler,Cell Illustratorなどのバイオインフォマティックス・ツールにて解析し、アレルギー体質の出現メカニズムを解析した。4臓器のうち、腸内細菌の有無によって遺伝子発現が受けた影響は、小腸、脾臓、大腸、肝臓の順に大きかった。小腸では代謝や栄養吸収に関わる遺伝子が大多数であったが、脾臓では、増殖、分化、細胞内輸送、細胞骨格系など細胞機能の多方面にわたる遺伝子が大規模に変動していた。小腸では、Th細胞に決定的な影響を及ぼす転写調節因子分が、特異的に動いていることをつきとめ、出生直後の腸内細菌との接触が、これらの転写調節因子の正常な発現と制御に必須であることが示唆された。これらの遺伝子は腸管免疫系の、特に調節せいT細胞の正常な発達に必要であることが考えられる。
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Xenobiotica 39(4) :
ページ: 323-334
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ページ: 192
http://web.sc.itc.keio.ac.jp/kampo/