研究概要 |
1.(1)大腸菌をもちいた発現系で,プロディフェンシンのリコンビナント蛋白を発現させ,HPLCにて精製した.精製蛋白はAU-PAGEとMALDI-TOF MSにて確認した. (2)リコンビナント蛋白を培養上清に添加し,上皮細胞からのサイトカイン発現誘導能をサイトカインarrayにて確認した.IL-8,IL-10,GRO,PDGFについてはELISAにて定量化し,IL-8とGROは分泌が誘導されていた. (3)三次元構造解析のため,発現vectorの検討を加えた.pET32a vectorにトランスレートした結果,蛋白発現が増強し,回収量が数倍に改善した.この,リコンビナント蛋白を材料として解析を継続する. (4)プロディフェンシンはトリプシン処理にて4kDのディフェンシンとなる.しかし,ジスルフィド結合を破壊されたプロディフェンシンは分解されてその機能を失う.それらの過程に関与する蛋白分解酵素の1つがヒト小腸から分離精製された.In vitroでの蛋白分解阻害実験を行う. 2.(1)ラット腸管から抽出した蛋白から低分子蛋白を精製し,抗菌活性を確認した.N末端アミノ酸解析の結果ではribosomal proteinであり,ディフェンシンとは異なるものであった.その抗菌活性の生理的意義については他の研究を予定している.ラット小腸のPaneth細胞の顆粒はマウス,ヒトに比較し少量で,顆粒からの蛋白精製は困難であると考えられた. (2)ラット小腸からRNAを抽出し,ディフェンシンに対する特異的プライマーを作成し,RT-PCRを施行した.アガロースゲル電気泳動ではいくつかのバンドが認められ,そのシークエンスは解析中である. 3.マウスDSS腸炎モデルをもちいて,プロディフェンシンの投与が有用である可能性を認めた.
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