研究概要 |
1. マウス実験の導入とマウスディフェンシンの精製, 分解過程の解析 (1) マウス小腸粘膜からcDNAライブラリーを作製しクローニングを行った. 特異的なプライマーを作製しPCR増幅とTAクローニング, DNAシークエンスを行った. C57Bl/6マウスに特異的なディフェンシンを発見しCryp4(B6b)と命名した. (2) マウスペプチド特異的なシークエンスをpET28ベクターにライゲーションし, 大腸菌発現システムで発現誘導し, Hisタグを有する蛋白をニッケルレジンで部分精製し, タグを切断したリコンビナント蛋白をHPLCにて精製した. 精製蛋白にアジュバントを付加し, ウサギに免疫後ポリクロナール抗体を作製した. 精製IgGがCryp4(B6b)に特異的であることを確認した. 2マウスDSS腸炎モデルの作成とディフェンシンの発現と有効性の解析 (1) C57B1/6マウスにDSSを経口投与し, 腸炎モデルを作製した. 腸炎の発症によりPaneth細胞の内因性ディフェンシンの発現量の変化をポリクロナール抗体を用いた免疫組織染色にて確認した. (2) 経口的にヒトディフェンシンをいくつかの経路から投与し腸炎発症の抑制効果を検討した. 腹腔内投与にて, 生存期間の延長をみとめ組織学的に炎症の鎮静を確認した. (3) 上皮細胞の増殖はKi-67染色にてアポトーシスはTUNEL法にて検討し, ディフェンシンの投与でインデックスは低下しアポトーシスを阻害する可能性をみた. ヒトディフェンシンはマウスin vivoモデルに対して治療効果を示し, 抗菌ペプチドによる炎症性腸疾患の臨床応用の可能性を示した.
|