研究概要 |
これまでの研究期間内に、ヒト単球にはCD14^<++>CD16^-、CD14^-CD16^+の異なるフェノタイプの存在を明らかとした。さらに、CD14^-CD16^+単球はHLA‐DRおよび共刺激分子CD86の発現がより高く、さらに、TNFα、IL-12,IL-18といったproinflammatoryサイトカインの産生もより高値であった。これら単球のうち、CD14^-CD16^+単球に対して、抗ヒトTNFα抗体インフリキシマブは強いアポプトーシス活性を有し、ヒト炎症性腸疾患における責任細胞がTNFαを含む様々なproinflammatoryサイトカインを産生するCD14^-CD16^+単球である可能性を示唆した。さらに、興味深いことに白血球除去療法のうちLCAP(せルソーバー)はCD14^<++>CD16^-単球に比べCD14^-CD16^+単球を選択的に除去することを明らかとした。このことは,従来、臨床先行型に開発応用されてきた白血球除去療法の作用機序として、体外式抗TNFα抗体療法が想定され臨床的にも意義深い知見と言えるかもしれない。今後の研究期間内に、さらに特異的体外式抗TNFα療法として、白血球除去療法カラム内での抗TNFα抗体吸着ビーズの開発を展開する予定である。さらに今年度は白血球除去療法による上皮細胞への影響を解析し、除去療法後の上皮細胞のなかで増殖細胞が増加傾向で有ることを確認し、腸上皮再生作用の可能性も示唆された。今後の研究にて再生機構の詳細な解析を行う予定である。
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