cyclooxygenase-2(COX-2)阻害剤は大腸癌に対し、化字予防効果があることが報告されている。しかし、進行大腸癌に対するCOX-2阻害剤と抗がん剤の併用効果に関しては、一定の見解は得られていない。今回、COX-2阻害剤celecoxibの抗がん剤の抗腫瘍効果に及ぼす影響についてマウスモデルを用いて検討した。BALB/cマウスに同系マウス由来大腸癌培養細胞株colon26細胞を移植し、直径5mm以上になったものを進行癌のモデルとして用いた。抗がん剤として5FUを連日腹腔内投与、経時的に21日目まで腫瘍径を計測し、celecoxibと併用した群と比較検討した。5FU20mg/kg以上投与した群では、コントロールのvehicle投与群に比べ、有意に移植皮下腫瘍増殖を抑制したが、celecoxibを併用した群では、5FU10mg/kg投与群においても、有意に腫瘍増殖は抑制された。celecoxibを併用した群では、腫瘍内の新生血管の密度は有意に低値を示し、celecoxibを併用することにより、血管新生が抑制され、腫瘍増殖が抑制されることが示唆された。また、celecoxib併用群では、腫瘍組織中のインターフェロンIFN-γが高値を示していたので、IFN-γノックアウトマウスを用いて、同様の皮下移植モデルの検討を行ったところ、IFN-ノックアウトマウスではcelecoxib血管新生抑制効果は認められず、5FUの抗腫瘍効果に及ぼすcelecoxibの上乗せ効果も減弱していた。以上から、celecoxibはIFN-γ産生を惹起し、産生されたIFN-γが腫瘍血管新生を抑制することにより、5FUによる抗腫瘍効果を増強する可能性が示唆された。
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