研究概要 |
非びらん性胃食道逆流症(NERD)におけるカプサイシン感受性神経と食道運動の観点から研究を行っている。平成19年度には,ラット慢性逆流性食道炎モデル作成時に工夫を行い,酸逆流モデルと酸・十二指腸液逆流モデルを作成した。これらのモデルにおける食道のIL-1β,CGRP,サブスタンスPの蛋白発現をELISAにて解析を行った。酸逆流モデルと酸・十二指腸液逆流モデルでは,IL-1βでみた炎症の程度,CGRP,サブスタンスP発現でみた食道感受性には差はみられなかったが,IL-1βとサブスタンスPの発現には負の相関がみられており,慢性の食道炎症が食道の感受性に影響を与えていることが明らかとなっている。これについては平成20年度に学会発表を行い,英文誌に投稿予定である。さらに,新生児時期に腹腔内に多量にカプサイシンを投与することで得られるCGRP欠損ラットにおける酸逆流モデルの検討についても平成20年度中には終了予定である。 また,NERDの長期経過観察についての臨床研究を行い,NERD例の大半が5年後には胸やけ症状が消失しており,また粘膜傷害を認めない例が多いが,5年後に逆流性食道炎例となっている例が約1割存在し,その頻度は全く胸やけ症状のない正常者の2倍であること,逆流性食道炎の約半数は5年後も逆流性食道炎例であるがその他の例においては食道粘膜傷害が消失することを明らかとし,英文誌に投稿し,受理され現在印刷中の状態である。
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