Regは、そのアミノ酸配列からC型レクチンファミリーに属する分泌ペプチドであり、1988年に膵再生を制御する増殖因子して発見された。我々はこのRegが膵のみならず胃粘膜腺の再生および発生時の組織構築おいて重要な役割を果たす因子であることを報告してきた。一方、Regの細胞表面受容体として、糖転移酵素EXTL3がクローニングされているが、これは増殖因子の受容体としては典型的ではなく、何か別の働きをもってRegと関わっている可能性も示唆された。EXTL3は既に細胞表面に糖鎖タンパク質を生成させる事が知られており、我々はレクチンであるRegがこの糖鎖に結合するのではないかと考えた。さらに、胃粘膜腺細胞にこの糖鎖タンパク質が生成してRegと結合することによりRegが胃粘膜腺の長軸方法にそってmolecular gradientを作り、morphogenとして働くのではないかと考えた。本研究では、筒状のチャンバーを利用し、培養プレートの中心にReg発現ベクターをトランスフェクションしたCOS細胞を周囲の細胞と混じり合わないように培養し、この周囲にEXTL3をトランスフェクションしたCHO細胞を培養し、Regのmolecular gradientを観察した。この細胞系にクロスリンカーを作用させた後、細胞表面に抗Reg抗体を作用させさらに固定、染色したところ、RegがCOS細胞を中心に、CHO細胞表面上に同心円状にmolecular gradientを作っている事が観察された。EXTL3をトランスフェクションしていないnegative controlでは見られなかった。これはCHO細胞にEXTL3cDNAのかわりにmockをトランスフェクションした実験系ではみられなかった。GFP融合RegタンパクをCOS細胞で発現させた系を用いると同様のmolecular gradientが観察された。
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