Colo205とCdx遺伝子を導入したColo205から抽出したRNAを用いてmicroarrayを行った結果、Adherens junctionで重要となるE-cadherin-catenin complexの構成因子の発現には差は認められなかったが、Desmosomal junctionの構成因子であるDesmocollin-2と、Tight junctionの構成因子であるClaudin-2の発現は、Cdx遺伝子を導入したColo205において明らかに上昇していた。E-cadherin-catenin complexの変化を検討するために、抗E-cadherin抗体あるいは抗beta-catenin抗体を用いてimmunoprecipitationを行ったところ、Colo205では抑制されていたE-cadherinとbeta-cateninの結合ならびにE-cadherinとp120-cateninの結合が、Cdx遺伝子を導入したColo205では強固となっていた。以上のことから、Cdx遺伝子は、Colo205において、Desmocollin-2の発現調節によってDesmosomal junctionを、Claudin-2の発現調節によってTight junctionを活性化していること、そして、Adherens junctionに関しては、構成因子の発言量ではなく、構成因子の結合・乖離によってその機能を調節していることが予測された。
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