C型肝炎ウイルス(HCV)感染は高率に慢性化し、肝硬変をへて肝細胞癌に発育する。日本人に多い遺伝子型1b感染で高ウイルス量による慢性C型肝炎はインターフェロン治療効果が低い。我々は塩基配列特異的に遺伝子発現を制御するマイクロRNAを利用して、HCVゲノム複製が抑制される事を示した。その結果を元に(1)マイクロRNAによるC型肝炎ウイルス側因子をターゲットにした複製制御、(2)マイクロRNAによる宿主側因子をターゲットとしたウイルス複製制御、(3)マイクロRNAによる肝線維化制御、レプリコンRNAを検出できない(cured cell)を作成した際に、共通して1つのマイクロRNAの発現が低下しレプリコンRNAを検出できない(cured cell)を作成した際に、共通して1つのマイクロRNAの発現が低下した。このマイクロRNAはレプリコンゲノムを認識せず、機能を抑制するとレプリコン活性が低下する事がわかった。(3)インターフェロン治療直前に採取した肝生検組織を用い、線維化の進行していない症例(F1)と線維化の進行している症例(F3)を用いてそれぞれマイクロRNA発現プロファイルをとった所線維化に応じて発現の異なっているマイクロRNAを同定した。(4)肝癌と周辺部非癌部組織より得られたマイクロRNA発現プロファイルを用い、マイクロRNAのターゲット遺伝子を肝癌の細胞株にマイクロRNAを強制発現前後のmRNA発現プロファイルによって絞り込み、RISCに取り込まれる事、マイクロRNA-ターゲット遺伝子の結合能を解析し、得られた遺伝子を検証した。これらの遺伝子の機能解析を行い、発癌ポテンシャルを持っている事を示した。
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