研究課題
基盤研究(C)
オステオアクチビンは肝硬変から肝癌が発生するラットモデルの肝臓から単離された遺伝子で、肝障害時にクッパー細胞で発現増強することが知られている。本研究の目的は、オステオアクチビンの障害肝の再生・修復と線維化に及ぼす影響を解析することである。マクロファージ系細胞を用いた実験から、オステオアクチビンはマクロファージへの分化誘導時に発現誘導され、そのほとんどがゴルジ体に、一部が細胞膜に存在することが明らかとなった。しかし、オステオアクチビン発現抑制系および強発現系を用いてマクロファージ機能に及ぼす影響に関する解析を進めている。一方、オステオアクチビン遺伝子を欠損したマウス(オステオアクチビンKOマウス)を作出し、全身またはマクロファージ特異的にオステオアクチビン遺伝子を欠損したマウスを作製した。本KOマウスの作出によって、今後種々の疾患動物モデルを用いたin vivo実験系における詳細な解析が可能となった。また、慢性C型肝炎の病態進展に及ぼすオステオアクチビンの影響を明らかにするために、C型感染ウイルス(HCV)抗体陽性者におけるオステオアクチビン遺伝子5'上流領域に存在する二つのSNP(rs858239、rs3757450)を解析した。その結果、rs858239TTおよびrs3757450AG/GGは慢性C型肝炎の持続または病態進展に関与している可能性が示唆された。本研究期間内にオステオアクチビンの役割の全容を解明することはできなかったが、本研究の遂行によって肝障害に引き続く肝臓の再生・修復および肝線維化過程におけるオステオアクチビンの作用が明らかになれば、肝硬変、ひいては肝発癌を抑制する分子標的治療薬の開発や、抗肝炎や障害肝の再生・修復を目的とした探索的創薬につながることが期待される。
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