研究課題/領域番号 |
19590764
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
笠原 彰紀 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70214286)
|
研究分担者 |
考藤 達哉 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (80372613)
平松 直樹 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30362700)
|
キーワード | C型肝炎 / 樹状細胞 / ペグインターフェロンα / リバビリン / 制御性T細胞 |
研究概要 |
C型慢性肝炎に対するPEG-IFNα/リバビリン併用療法によって治療成績は改善したが、Genotype1型、高ウイルス量の難治例におけるHCV排除率は約50%である。治療成績を更に向上させるためには、現行治療の投与方法の工夫や新たな治療法の開発が必要である。今年度は難治性C型慢性肝炎患者に対するPEG-IFNα/リバビリン併用療法において、ウイルス反応性、薬剤投与量(Adherence)、免疫学的反応性と治療効果との関連を検討し、免疫細胞マーカーに基づくResponse-guided therapyの有用性を明らかにすることを目的とした。PEG-IFNα/リバビリン併用48週投与において、4週から12週までに陰性化した症例(EVR)の約30%、12週から24週までに陰性化した症例(LVR)では約70%が再燃した。LVR例に対しては、治療期間を72週へ延長することで再燃率が低下し著効率が向上した。薬剤Adherenceに関しては、PEG-IFNαが投与開始量の80%以上の症例ではEVRは有意に高かった。一方、EVR例においては、リバビリン投与量の減少に伴って再燃率が有意に上昇した。従って、EVRを得るためにはPEG-IFNαを開始量の80%以上に維持すること、また再燃を抑えるためにはリバビリンを可能な限り開始量に維持することが肝要である。ウイルス反応性のみでは、EVR例の中での再燃例や、生化学的著効(BR)が得られ肝発癌抑制効果が期待できる症例を判別することは困難である。免疫反応性の評価が、これらの予測に有用か否かを明らかにするために、樹状細胞(DC)や制御性T細胞(Treg)の頻度とDC機能を解析した。治療中のDCの頻度が高く、終了時にDCのT細胞刺激能が回復している症例では終了後の再発率が低かった。一方、仮にEVRが得られても、終了時のDC機能が回復していない群では再燃率が高かった。Treg頻度が治療中に増加する症例では、HCV排除の有無に関らず終了後にALTが正常化した。以上の結果より、免疫細胞の解析をウイルス反応性や薬剤Adherenceに加味することで、個々の治療反応性に応じた抗ウイルス治療を提供することが可能となることが明らかになつた。
|