研究課題/領域番号 |
19590769
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
是永 匡紹 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (70420536)
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研究分担者 |
日野 啓輔 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80228741)
是永 圭子 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (60420535)
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キーワード | ミトコンドリア / 鉄過剰状態 / HCVTgM / 肝発癌 / 酸化ストレス |
研究概要 |
C型肝炎での肝細胞の鉄過剰状態がどの様にミトコンドリアに障害を与え、酸化ストレスを増加させるかは、全く明らかにされていない。そこで、HCV蛋白と鉄が更なる、肝ミトコンドリア障害を引き起こすか否かを明らかにするために以下の検討を行った。 (1)活性酸素種(ROS)の測定 HCVトランスジェニックマウス(TgM)に鉄負荷を引き起こした肝発癌モデルでは、発癌する12カ月目で酸化ストレスの上昇を認めるのみであったが、ジハイドロエチジウム(DHE)を用いることで、6か月でも酸化ストレスの計測が可能になった。DHEはスーパーオキサイド(02・-)を測定する為、この酸化ストレスはミトコンドリアから発生している可能性が高い。HCVTgMにおいてもDHE亢進が認められたが、鉄負荷により相乗的に亢進することが確認された。これによりHCV蛋白による酸化ストレスは発癌以前より、徐々に蓄積されており、鉄と加齢によりミトコンドリアからの酸化ストレスを亢進させることが明らかにされた。 (2)ミトコンドリアトコンドリア呼吸鎖複合体Iの機能解析 一方、ミトコンドリア機能障害は6か月目では確認できず、12か月目で出現するため、ミトコンドリア機能障害は酸化ストレス亢進による抗酸化能低下が原因であると考えられた。 (3)抗酸化剤による鉄過剰状態の改善 抗酸化能維持のため鉄負荷と同時Coq10とVitamin Eを投与することにより、DHEは抑制されだけでなく、鉄過剰状態も改善された。またグリチルリチン製剤投与でも同様な結果が確認された。ミトコンドリア機能維持には、早期からの酸化ストレスの抑制が重要で、鉄吸収のcontrol影響を与える可能性もあると考えられた。
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