研究概要 |
1.リバビリン(RBV)のC型肝炎ウイルス(HCV)排除に関わるkey moleculeの同定 リバビリン(RBV)もIFNと同様に抗HCV作用を持つ。臨床的にRBVは単剤投与では無効で、IFNと併用することによりIFNの抗HCV作用を増強する。そのことから、RBVによるISGへの修飾作用を想定し、RBVのISG増強効果の有無こついて検討した。 HepG2に移植したHCV全長プラスミドとT7アデノウイルスベクターを用いたHCV複製系にIFN,RBV単独あるいは両方を添加し、ISGmRNAの変化を経時的に観察した。その結果、HepG2細胞株においてRBVによるPKR, MxA, H8mRNAの増強効果がみられた。しかしながらHuh7細胞株ではRBVによるISG mRNA増強効果はみられなかった。Huh7では内因性IFN-βの産生が阻害されており、そのことから、RBVにより増強されるISGはRBVによる内因性IFN-β産生増強に伴う効果であること想定された。実験によりHepG2細胞でRBVによるIFN-βmRN誘導増強効果が観察された。Huh7ではRBVによる産生増加は見られなかった。これらの検討より、RBVの抗HCV作用のkey moleculeとして内因性IFN-βが同定され、PKR,MxAなどのISGをさらに増強することにより抗HCV作用を持つと考えられた。 2.インターフェロン(IFN)、リバビリン(RBV)治療中のHCV患者より採取した末梢血リンパ球におけるIFN誘導遺伝子(ISG)の経時的変化 RBV併用例と非併用例におけるISG修飾の有無についで治療中のHCV患者より同意取得後に採取した未梢血リンパ球を用いて比較検討した、IFN-α単独治療をした12例および、IFN-α+RBV併用療法をした53例を対象に、末梢血T細胞を単離し、上記ISGのPKR,MxA,2'5'-OAS,IL-8のmRNA量についてreal-timeRT-P法で定量した、その結果RBV併用群ではRBV非併用群に比較して投与後4時間から24時間におけるPKR,MxA,IL-8mRNAの有意な増加みられた。このことより、上記in vitroの実験系のみならず、in vivoの免疫細胞においても、RBV併用によりISGはさらに増強され、抗HCV効果に関わっている可能性が考えられた。
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