研究課題/領域番号 |
19590772
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
西原 利治 高知大学, 教育研究部医療学系, 准教授 (60145125)
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研究分担者 |
戸田 勝巳 高知大学, 教育研究部医療学系, 准教授 (40197893)
高橋 昌也 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (80380335)
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キーワード | 脂肪酸β酸化 / 遺伝子多型 / リパーゼ / 結晶解析 |
研究概要 |
今日、多くの研究者の興味は糖尿病、高血圧、高脂血症などに向けられているが、NASHの頻度はこれらの疾患と同等あるいはそれ以上であり、罹患者数が急増している現状、予後の重篤さを考慮すると、本症に対する研究は緊急性を有する。近年、疾患感受性という概念や人種的背景という概念も次々に機能性遺伝子多型という遺伝子情報の形で実体化されつつある。私は今回脂肪酸β酸化の律速段階を制御する遺伝子とその機能性遺伝子多型を特定した。また、脂肪酸のβ酸化能をin vivoで測定するために必要な手法を開発し、遺伝子多型に応じて肝臓における脂肪酸β酸化能に個体差が生じることも明らかにした。そこで野性型および変異型蛋白質を遺伝子組み換えにより作成した。これに反応する抗体を作成したところ、両者ともWesaternblotで単一バンドとして検出され、細胞内では2量体として存在することも明らかになった。しかし、遺伝子組み換え蛋白は疎水性が強く、活性中心が正常に構築されたか検証が困難であった。このため水溶性の高い部位を再度検索して、活性中心付近の可溶性部分の蛋白作成を試みている。他方、脂肪酸の産生に重要な役割を果たす12個のlipaseについて、その遺伝子多型の検討を行った結果、本邦のNASH症例の9割の症例が保持する単一の遺伝子多型を見いだした。そこで、この遺伝子の発現制御について検討し、空腹時にmRNAの発現が増強され、食事摂取により速やかに抑制されることなどを明らかにした。この成績から私はこのlipaseが肝細胞内脂肪量を調節しているのではないかと考えている。この遺伝子座は近傍の多くの遺伝子多型と連鎖不平衡関係にあるので、単にNASHの疾患感受性を規定する因子であるのみならず、インスリン分泌やBMIを規定する因子と連鎖している可能性が高いと考えられる。
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