原発性胆汁性肝硬変(PBC)の発症病態に関与する自然免疫と獲得免疫を解析した。検体は全て生体肝移植の際の摘出肝臓を用いた。 (1)IL-2刺激を加えた単核球が自己胆管上皮細胞を標的細胞とした場合に細胞傷害活性を持つことを明らかとした。細胞傷害活性は通常のCrリリースアッセイで確認した。 このときの細胞傷害活性は、自己反応性CD4陽性T細胞による自己抗原(抗ミトコンドリア抗体の対応抗原であるピルビン酸脱水素酵素E2コンポーネントを構成するペプチド抗原)をパルスした胆管上皮細胞に対する細胞傷害活性と同等であった。 (2)さらにこの細胞傷害活性が、IL-2に代えてTLRリガンド(TLR2リガンド(LTA)、TLR3リガンド(poly I:C)、TLR4リガンド(LPS)、TLR5リガンド(Flagellin)、TLR7リガンド(R848)、TLR9リガンド(CpGs))の刺激で代替できるかを検討した。その結果単独で細胞傷害活性を認めたTLRリガンドはなかったが、特定の2つのリガンドを組みあわせて刺激を行っても細胞傷害活性を認めた。他のリガンドの組み合わせでは細胞傷害活性は認めなかった (3)IL-2刺激を加えた末梢単核球分画のうち、イムノビーズでセルソーテイングを行いCD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞、NK細胞に分けて検討した結果、CD4陽性T細胞分画には傷害活性がないことが明らかとなった。
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