研究課題/領域番号 |
19590779
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
加隈 哲也 大分大学, 医学部, 助教 (80343359)
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研究分担者 |
吉松 博信 大分大学, 医学部, 教授 (00166993)
清家 正隆 大分大学, 医学部, 助教 (40253794)
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キーワード | 脂肪肝 / チアゾリジン誘導体 / アディポネクチン / ピオグリタゾン / PPARγ / SREBP / db / dbマウス / KKAyマウス |
研究概要 |
チアゾリジン誘導体(TZD)は、インスリン抵抗性や脂質代謝改善作用を有し、脂肪肝の改善効果が注目されている。一方で、肥満糖尿病モデル動物においてはTZDにより、糖脂質代謝改善が明らかであっても、脂肪肝の悪化した報告が散見される。昨年は肝臓でPPARγの発現が高いdb/dbマウスを使用し、脂肪肝悪化の原因は肝臓におけるPPARγの基礎発現量と脂肪組織での作用のバランスが規定する可能性を報告した。今年度は、1、低用量(15mg)のPioglltazone (Pio)の経口投与では、PPARγが肝臓に過剰発現しているKKAyマウスにおいても脂肪肝の悪化はみられるのか?、2、同KKAyマウスにおいて、同量Pioの腹腔投与では、肝臓より先に脂肪組織に作用するため脂肪肝悪化は軽減されるのかを検討した。14週齢雄KKAyマウスにPioを14日間、経口および腹腔内投与したところ、両群とも摂食量には変化はなかったが、体重は有意に増加した。血糖値、中性脂肪値、遊離脂肪酸値は有意に低下したが、血糖低下作用は腹腔内投与の方が強かった。経口投与では脂肪肝の悪化が確認されたが、腹腔内投与では悪化は軽度であり、GPTや肝臓重量の増加は観察されなかった。一方、脂肪組織においては、経口投与で内臓脂肪、皮下脂肪の両者の増加が観察されたのに対し、腹腔内投与では内臓脂肪の増加は認めず、アディポネクチンの増加率は腹腔内投与の方が大きかった。以上、KKAyマウスにおいてもPioを経口投与すると脂肪肝は悪化した。一方で、同量を腹腔内に投与するとアディポネクチンは経口投与より有意に増加し、脂肪肝の悪化は軽減した。この一連の研究により、Pioによる脂肪肝の改善および増悪の鍵は、肝臓でのPPARγの発現量とそこでの脂肪合成能と、本来PPARγが高発現している脂肪組織でのインスリン抵抗性改善作用のバランスが規定することが判明した。
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