研究概要 |
NASHの臨床検体数が十分でなく、少数例での免疫染色の解釈が困難であったことから、2008年度も引き続いて同一モデルでの実験的研究を行い、肝障害におけるTLR4の意義を検討することとした。1)NASHモデルCDAA食投与ラットを8週まで観察し、 PBSで灌流した肝を摘出してホモジェナイズし、上清中のTNF-α濃度から全肝TNF-α含量を算出した。またコラゲナーゼ灌流肝からクッパー細胞を分離し、培養上清のTNF-α濃度を測定した。 CDAA投与後4週でF1、8週でF2の線維化を認め、4、8週で血清TNF-α濃度および全肝TNF-α含量は増加していた。また肝組織のTNF-α免疫染色では1、4、8週で染色性の増強をみた。 RT-PCR法では、肝内TNF-α mRNA、 TLR-4 mRNA、 CD14 mRNA発現が増強していた。クッパー細胞培養上清のTNF-α濃度はコントロール群に比しNASH群で上昇していた。さらにサイトカイン産生調節薬Y-40138の投与により、血清ALT値上昇、 TNF-_陽性細胞数、クッパー細胞培養上清TNF-α濃度の増加が抑制され、肝線維化の進行が抑制された。2)急性肝不全モデル前年度に引き続き、ラットガラクトサミン(GalN)投与モデルでの実験を行った。今年度は、重症敗血症の治療薬として開発が試みられているTLR4アンタゴニストE5564の本急性肝不全モデルラットに対する肝障害抑制効果に関して検討した。Ga1N投与急性肝不全ラットの血清T.Bi1, ALT, TNF-α値は著増していたが, E5564投与によりその増加は抑制された.Ga1N投与急性肝不全ラットの肝内TNF-α mRNA, TLR4 mRNA発現は, E5564投与により抑制された.Ga1N投与急性肝不全ラットでみられた肝小葉内の壊死および出血はE5564投与により軽度にとどまった。
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