(1)改良型融合細胞ワクチンの開発 Toll-like receptor agonistであるOK-432にて成熟誘導した樹状細胞と熱処理した腫瘍細胞を融合した改良型融合細胞は(1)熱ショック蛋白、MHC classI、II、CEA、CD80、CD86、CD83とIL-12の著しい発現増強、(2)融合細胞からのIL-12の産生増強、(3)自己腫瘍細胞に対するCTL活性の増強、そして(4)CD107+IFN-gamma+CD8+T細胞とCD154+IFN-gamma+CD4+の誘導亢進が認められた。以上より、改良型融合細胞は相乗的に免疫源性が増強し、ワクチンによる癌治療効果の改善が期待される。 (2)マウス肝癌に対する免疫学的生体防御機構と病態における意義 マウス肝癌細胞を取り込ませた樹状細胞(DC)とコントロールDCのMHC class II上に提示されるペプチド抽出し、LC/MS/MSを用いて両者を比較検討することにより、T細胞に提示される腫瘍抗原の同定を試みた。同定された抗原ペプチドを人工合成しアジュバントとともにマウスに免疫し、T細胞からのサイトカイン産生を検討した。LC/MS/MSによる解析の結果、肝癌細胞に発現するCytochrome p-450 2j subfamily(CYP2js)分子の一部を構成するペプチドが肝癌細胞を取り込ませたDCのMHC class IIから分離された。 (3)膵臓細胞株における癌幹細胞の同定 5種類の膵臓癌細胞株のCD133発現を調べた結果、Capan-1において高い発現を認めた。このCD133陽性細胞をsortingし、上述(1)にて開発した改良型融合細胞の作製を試みた。その融合細胞にて誘導されたCTLに関して検討中である。
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