研究課題/領域番号 |
19590816
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
坂田 泰彦 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90379206)
|
研究分担者 |
佐藤 洋 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10294092)
水野 裕八 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (60437423)
|
キーワード | リンフォトキシンα / 細胞接着 / 血管内皮細胞 / 単球細胞 / 動脈硬化 |
研究概要 |
我々は大阪大学を中心とした多施設共同研究である大阪冠症候群研究会(OACIS: Osaka Acute Coronary Insufficiency Study)の遺伝子バンクを用いて症例対照研究を行い、Tumor Necrosis Factor(TNF)スーパーファミリーの一員であるリンホトキシンα(LTA)が心筋梗塞発症関連遺伝子であることを見出した。またLTA遺伝子の多型は機能的差異を有し、転写活性およびICAM産生を変化させること、またLTA遺伝子のみならずその結合蛋白であるGalectin-2遺伝子の多型は心筋梗塞発症に深く関与していることを明らかにした。しかしながらこれまでLTAに関する基礎的研究は主に免疫系においてなされてきたのみであり、その動脈硬化における役割はほとんど解明されていなかった。そこで我々は動脈硬化におけるLTAの役割を解明するため、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)、ヒト冠動脈内皮細胞(HCAEC)においてE-セレクチン、VCAM、ICAMなどの細胞接着因子の発現がLTAにより強く特異的に誘導されることをAffymetrix社製Focus array Gene Chip(約8000項目)および定量的PCR法、ウエスタンブロッティング法により確認した。また、LTAで刺激されたHUVECには単球の接着が増強されること、またこの血管内皮細胞と単球の接着に関わる一連の機構にTNF受容体(I型)を介したPI3K(フォスファチジルイノシトール3リン酸)/Akt/NF-KB経路が関与していることを明らかにした。すなわちLTAは血管内皮細胞における接着因子の発現を誘導し、またそれにより動脈硬化の初期段階である単球と血管内皮細胞の接着を増強することにより動脈硬化の初期段階を制御しているものと考えられる。
|