心筋炎に対するCNPの効果とメカニズムの解明を行った。Lewisラットにブタ心筋ミオシンを皮下注射し自己免疫性心筋炎モデルを作製した。浸透圧ミニポンプを植え込み、その後2週間0.1μg/kg/minのCNPまたは5%ブドウ糖液の持続静注を行った。そして、心エコー、心カテーテル、形態学的コラーゲン密度定量、定量PCRにより評価した。心エコー検査では、CNP投与群において左室径の拡大並びに左室内径短縮率の減少が有意に抑制されていた。また、CNP投与により左室拡張末期圧の上昇が有意に抑制され、dp/dtは増加した。一方、CNPによる血圧への影響は認められなかった。Sirius Red染色による病理組織学的検討では、CNP投与群は対照群に比べ左室コラーゲン密度が有意に減少しており、Hematoxylin-eosin染色による炎症スコアはCNP投与群で有意に低下していた。さらに、CNP投与群の心筋では、Thl系サイトカイン(IFN-γ、IL-2)のmRNAの発現が減少し、Th2系サイトカイン(IL-4、IL-10)のmRNAの発現が増加していた。また、CNP投与によりMCP-1およびTNFαのmRNA発現も減少していた。本研究により、ラット自己免疫性心筋炎に対するCNPの保護作用の機序として、ヘルパーT細胞のTh1/Th2バランスの修飾や心筋線維化の抑制、抗炎症作用などの可能牲が示された。これらのことから、自己免疫性心筋炎に対する心保護薬としてCNPが有用である可能性が示唆された。
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