研究課題
スタチンは心筋酸素需要低下、左室拡張機能改善による心機能改善、神経体液性因子改善作用などを有することより慢性心不全患者の運動耐容能と予後改善効果が考えられる。本研究では慢性心不全患者におけるスタチンの主要心イベント(心不全による入院、死亡)抑制効果についての検討を行い、慢性心不全患者の入院の減少、入院期間の短縮、再入院率の低下と心血管炎症マーカー抑制効果、運動耐容能の改善により患者のQOLの改善をとスタチンの心不全改善効果の作用機序を解明する。平成19年度は研究体制の整備、薬剤の準備、インターネットによる症例エントリー体制の確立、症例エントリーの開始を行った。安定した慢性心不全患者で左室駆出率が45%以下の患者を登録し、無作為にスタチン投与群と対象群に割付けた。登録施設は2008年3月の時点で80施設、登録症例は350症例となった。心不全の内訳は陳旧性心筋梗塞、拡張型心筋症、大動脈弁狭窄症等の弁膜症、高血圧性心不全等が含まれている。現時点ではスタチン服用群で重篤な副作用は見られず、今後500症例まで症例登録の継続と登録された症例については、炎症マーカー、心血管イベント等、外来で経過観察中である。海外のロスバスタチンを使用した、慢性心不全の介入試験(CORONA試験)では、主要評価項目の総死亡率の低下は見られなかったが、心不全悪化による入院はP=0.01で有意に抑制したことが示された。CORONA試験は全症例が虚血性心不全であるが、本試験は虚血性、非虚血性心不全の療法が含まれている点、本試験の方がCORONA試験に比べると軽症例が多い点で異なる。本試験は一次評価項目で、心不全悪化による入院をおいているので、CORONA試験の一次エンドポイントとは異なった結果が期待できる。
すべて 2007
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