高脂血症治療薬であるHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)は心筋酸素需要低下、左室拡張機能改善による心機能改善、神経体液性因子改善作用などを有することより慢性心不全患者の運動耐容能と予後改善効果が考えられる。本研究では慢性心不全患者におけるスタチンの主要心イベント(心不全による入院、死亡)抑制効果についての検討を行い、慢性心不全患者の入院の減少、入院期間の短縮、再入院率の低下と心血管炎症マーカー抑制効果、運動耐容能の改善により患者のQOLの改善をとスタチンの心不全改善効果の作用機序を解明することを目的とした。 平成20年度は症例のエントリー、エントリーされた症例の観察、症例データ登録、エントリーされた症例の観察、データ解析を行った。 現在まで慢性心不全患者570例の登録があり、心血管イベントの追跡、心エコーによる左室駆出率、血中BNPを測定し、経過観察を行っている。 慢性心不全の前向き介入研究では、わが国では過去最大級の登録数であり、本邦でのスタチンの心不全に対する効果を検討する上で意義深い研究であると考えられる。海外で行われたCOROMA、GISI-HF研究に比べると、軽症例や若年群が多い傾向であり、異なった心不全対象群でのスタチンの作用が期待される。一年後の中間安全性検討委員会では、副作用等の問題なく、試験継続が決定され、一次エンドポイントを2年後(2010年6月)に評価する予定である。
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