心筋特異的タンパクである心筋ミオシンに着目し、この抗原感作によるラット自己免疫性心筋炎・心筋症モデル(EAM)を検索した。本モデルはTリンパ球による細胞性免疫が主病態である。研究の結果、T細胞エピトープの同定、ミオシン特異反応性Tリンパ球株の樹立、さらにこの細胞株を移注する心筋炎トランスファーモデルの作成に成功した。EAMの病態のさらなる解明には心筋免疫を特異的に賦活する免疫担当細胞、特に心臓樹状細胞の動態検索が欠かせない。本研究を遂行したところ、心臓樹状細胞を含めた免疫担当細胞の探索には対象細胞の標識化が必須であることが明らかとなった。そこで、今回、GFPトランスジェニックラットの開発に成功し、免疫担当細胞の局所動態の観察がはじめて可視化された。現在、(1)GFP発現心筋炎惹起性Tリンパ球株の樹立と細胞移注によるEAMの惹起実験、(2)移注した免疫担当細胞の体内動態観察および心臓局所での組織学的同定、などの研究を次々と展開している。
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