研究概要 |
アディポネクチンが動脈硬化症で欠乏しており、薬剤によって改善可能であること。また、心筋梗塞の傷害心筋内でアディポネクチンが発現しており、線維化抑制との関連を示していた。心筋炎モデルで、心筋障害の抑制に関与し、心筋再生に重要であることがわかった。 動物実験でのアディポネクチン制御機構 1.ウイルス性心筋炎マウスモデルで、傷害心筋のアディポネクチン発現亢進を認めた。アンギオテンシン受容体拮抗剤投与で、アディポネクチン発現亢進とともに生存率の向上、心筋肥大の抑制、線維化の減少を示した。アディポネクチン発現が、心筋肥大の抑制や線維化の減少を促進すると想定した。肥満で糖尿病の0bマウスで、アディポネクチン心筋内発現が低下し、心筋傷害や線維化の程度も増悪していた(Kandaら、Int J Cardiol 2007)。 2.野生型マウスやKKAY肥満マウスにウイルス性心筋炎を発症させて、Angiotensin受容体拮抗薬(カンデサルタン)を投与すると、減少した心筋内アディポネクチンが発現高進し、心筋抑制を誘導した(Saegusaら、Cardiovasc Drug Ther,2007;YuFら、Int J Cardiol,2007)。 以上から、心筋炎や心不全にAngiotensin受容体拮抗薬が有効な理由の1つに、心筋内アディポネクチン発現誘導が関与していると考えた。今後は、更に、心筋内アディポネクチンがどんな因子と関連し誘導されるか、転写因子との関連は何かを解明する。
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