研究課題/領域番号 |
19590843
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研究機関 | 国立循環器病センター(研究所) |
研究代表者 |
李 梅花 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部, 派遣研究員 (60443496)
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研究分担者 |
鄭 燦 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部, 派遣研究員 (50443495)
川田 徹 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部, 室長 (30243752)
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キーワード | 急性心筋梗塞 / 慢性心不全 / アンジオテンシンII / 迷走神経 / アセチルコリン / 心臓リモデリング / 心機能 |
研究概要 |
本研究はアンジオテンシンII受容体桔抗薬投与でレニン-アンジオテンシン系を抑制した上に、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬を併用投与することにより、心筋梗塞後重症心不全に対する最新の薬物治療法を開発することを目的とする。本年度はロサルタンとドネペジルの併用投与が予後不良である重要な要因の一つとして心臓交感神経活動の亢進と迷走神経活動の低下が知られている。ロサルタン投与でレニン-アンシオテンジン系を抑制した上に、ドネペジルを併用投与して、薬理的に迷走神経活動を正常化させることで、心筋梗塞後心不全ラットの心臓リモデリングや心機能に対して更なる治療効果が期待できると考えた。8週齢のSDラットをハロセン麻酔下に、左冠状動脈を決紮して急性心筋梗塞を作成した。1週間回復させた後、生存したラットに再びハロセン麻酔を施し、血圧または心電図テレメトリを埋め込んで、血圧、心拍数、心電図を計測した。2回目の手術から1週間後、ラットを無作為にロサルタン単独治療群(LT)、ロサルタンとドネペジル併用治療群(LDT)に分けた。ドネペジル投与量は5mg/kg/目とし、ロサルタンの投与量は最初の2週間は10mg/kg/日、その後、30mg/kg/日まで増量した。治療を6週間行った結果、LDT群の心拍数は治療開始1週目から有意に低下した。LDT群はLT群に比べて、左室拡張末期圧は22%、心係数は14%改善した。また、LDT群において心不全の重圧度を反映する血中BNPとノルエピネフリンは有意に低かった。これらの結果から、ロサルタンとドネペジルの長期併用投与は、心筋梗塞後重症心不全ラットに対して心機能および心臓リモデリングの更なる改善効果を示すことが判明した。
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