研究課題/領域番号 |
19590856
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
鳥羽 健 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (60313540)
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研究分担者 |
加藤 公則 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (00303165)
塙 晴雄 新潟大学, 医歯学系, 講師 (40282983)
相澤 義房 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50143780)
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キーワード | 血管病態学 / 血管再生 / 赤芽球 / 細胞療法 / 体外増幅 |
研究概要 |
1.骨髄細胞移植による血管再生治療が行われている。本治療では患者から全身麻酔下に500-1,000mLの自己骨髄を採取する必要があり、患者に大きな苦痛を強いる。より洗練された細胞治療の開発を目指して、本研究を行った。 2.最初に骨髄細胞移植による血管再生の作用機序に関する研究を行った。マウス下肢虚血モデルの治療実験およびin vitro血管新生実験の結果、骨髄中に含まれる未熟赤芽球が骨髄マクロファージの協力のもとに血管新生を行うことが明らかとなった。骨髄における恒常的な血管の再構築が当該治療によって骨髄外で再現されたものと考えた。 3.つぎに少量の骨髄中に含まれている造血幹細胞を増幅培養することで、血管新生作用に富む赤芽球とマクロファージの混合物を得るための培養条件を探求し樹立した。ヒト骨髄をrhFlt-3L・rhSCF・rhTPOの存在下で7日間培養し、その後rhEPO・rhSCF・rhIGF-Iの存在下で7日間の培養を行う2段階の培養法が最適であった。体外増幅赤芽球の移植は同数の骨髄細胞移植より良好な血流改善効果を示し、その作用は10倍数の骨髄細胞移植に匹敵した。 4.本治療法は、「重症下肢虚血患者に対する体外増幅赤芽球移植療法の第1・2相試験」として、当施設に設置の倫理委員会の承認、およびIRBの承認を受け、また米国に設置の国際治験登録機関IRSCTNに登録し承認された。当施設に設置のGMPグレード細胞培養センター(CPC)が平成19年9月に稼働開始し、患者登録を開始した。第1例目の下肢虚血患者については、移植1週間後で既に目覚ましい下肢酸素分圧の改善を認め、従来の骨髄細胞移植法に対する圧倒的な優位性が示された。平成19年度中に下肢虚血患者2例および上肢虚血患者2例の計4例に実施を予定している。
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