研究課題
血管壁損傷部位に速やかに集積し、集積部位において活性化し、細胞内に畜積されていた生理活性物質を局所放出する血小板は、局所血管機能の調節において重要な役割を演じる。われわれは、活性化された血小板がセロトニン、CD40 ligandなどの生理活性物質を単体として放出するのみでなく、細胞膜の一部をsheddingすることにより、細胞膜の構成成分である脂質と同時放出することを示した。細胞膜の一部がsheddingにより膜を構成する脂質成分と一体となって放出されるmicroparticleには、生理活性物質が陰性荷電したリン脂質とともに放出されることになる。単球に代表される炎征性細胞は、陰性荷電したリン脂質を認識してmicroparticleを貪食することを平成19年度の研究おいて示した。さらに、活性化血小板由来microparticleが単球の増殖を促進させること、microparticleによる単球増殖促進効果はCD40 ligandなど蛋白性サイトカイン単体の効果に勝ること、活性化血小板由来microparticleに結合している蛋白性の生理活性物質は単一ではなく複数であること、などを確認した。平成19年度の研究において、多色蛍光顕微鏡を用いることにより血小板由来のmicroparticleを緑、単球系細胞を赤色に認識し、単球系細胞がmicroparticleを貪食することを形態学的に、かつ動的に証明した。同様の方法により血管内皮細胞によるmicroparticleの貪食を検証できることを確認した。心筋梗塞、心不全などの心疾患においてmicroparticleの血液中濃度を計測する基盤整備を行った。Microparticleが炎症性細胞の機能を効率的に調節すること、およびmicroparticleが炎症性細胞により貪食されること、を平成19年度において別個に示したものの、貪食されたmicroparticleが白血球細胞の機能を細胞内から調節するか否かの確認に平成20年度の研究課題に残した。
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