研究課題
社会の高齢化とともに動脈硬化を基盤とする血栓性疾患である心筋梗塞、脳梗塞の本邦における有病率が増加している。動脈硬化巣の形成、動脈硬化巣破綻部位の血栓形成において血小板は必須の役割を演じる。糖尿病などのリスク因子により血管内皮細胞が機能的に障害された部位に血小板が集積する。集積された血小板は活性化されmicroparticleを放出し、放出されたmicroparticleが血管内皮細胞機能をさらに修飾することにより血栓の形成速度が影響されることを示した。Microparticleは血管内皮細胞、炎症性細胞の機能に影響を与えるのみならず血小板血栓周囲における凝固系の活性化をも促進する。血小板表面膜上の凝固系活性化の結果産生されたトロンビンは、トロンビン受容体刺激を介してさらに血小板の活性化を促進させる効果を有することを示した。血管内皮細胞、炎症性細胞、血小板、凝固系は各々別個に作用するのみならず相互に緊密に作用することにより心筋梗塞、脳梗塞などの動脈血栓性疾患の発症に影響を与えていることを示した。動脈血流の条件下にて活性化された血小板からのMicroparticle産生メカニズムについて、細胞内小器官であるミトコンドリア、好気性代謝が一定の役割を演じていることを示唆する実験結果を得た。Microparticleによる各種細胞機能の調節機構については、多くの研究成果をあげたが、血小板以外の他細胞にも共通すると想定されるmicroparticle産生、放出のメカニズムについてはさらなる研究が必要である。
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http://www.med.u-tokai.ac.jp/daigakuin/web/taisya.html