研究課題/領域番号 |
19590876
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
檜澤 伸之 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (00301896)
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研究分担者 |
今野 哲 北海道大学, 大学病院, 助教 (20399835)
西村 正治 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00208224)
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キーワード | 喘息 / COPD / オランダ仮説 / CCL5 / IL-17F / 末梢気道病変 |
研究概要 |
気管支喘息とCOPDは一般にその病因、病態、臨床像は異なるが、実際の臨床の場では両者の徴候がオーバーラップした患者の鑑別は必ずしも容易ではない。さらに喘息とCOPDとはいずれも種々の外来因子(アレルゲン、喫煙、ウイルスなど)に肺組織が過剰に反応する病態、すなわち気道組織の傷害に対する感受性が亢進し、気道リモデリングが起こり易いという共通病態に立脚した症候群であり、両疾患は単に表現型の違いを見ているに過ぎないとの考え方もある(オランダ仮説)。我々はこれまでにCCL5やIL-17Fの機能に影響を与える遺伝子多型と喘息発症や病態との関連を報告した。我々の検討によると対立遺伝子-28Gが40歳以上に発症した高齢発症喘息の危険因子になっていた。さらに250名のCOPD患者で対立遺伝子-28Gがもたらす影響を検討したところ、同対立遺伝子と肺気腫病変との間に強い逆相関が認められ、遺伝的に規定されたCCL5過剰産生が喘息とCOPDとに共通した末梢気道病変の形成に影響することが推測された。さらにIL-17F蛋白の161番アミノ酸に存在するヒスチジン[H]からアルギニン[R]への変異において、R型変異には喘息発症に抑制的な影響があることを報告した。このR型IL-17Fは、特にアトピー体質を有する群において喘息とCOPDとの両者を含んだ慢性炎症性肺疾患の発症にも抑制的な影響を示した。これらの一連の検討から、我々は複数の共通した遺伝因子が気管支喘息とCOPDとの病態形成に重要な役割を果たしている可能性がある。
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