健康成人末梢血よりCD4T cellを分離し、IL-23の存在下でanti-CD3monoclonal antibo dy(mAb)とanti-CD28mAbで8日間刺激し、IL-17を産生するTh17細胞を誘導した。誘導したTh17細胞と非小細胞肺癌細胞をトランスウエルを用いて共培養すると、共培養した培養液中の各種腫瘍血管新生因子(VEGFやIL-8など)の濃度が、Th17細胞や非小細胞肺癌細胞を単独で培養した培養液中の濃度に比較して著明に増加することが明らかになった。この現象の一部は、IL-17やTNF-alphaの作用であることが明らかになった。さらに、非小細胞肺癌細胞をSCIDマウスに接種し、Th1またはTh17細胞をマウスに投与すると、Th17細胞を投与したマウスの非小細胞肺癌は、コントロールのCD4T細胞を投与したマウスの非小細胞肺癌に比較して、増殖が促進されるのに対して、Th1細胞を投与したマウスの非小細胞肺癌細胞は、コントロールのCD4T細胞を投与したマウスの非小細胞肺癌細胞に比較して、増殖が抑制されることが明らかになった。腫瘍組織をanti-CD31mAbで染色し、腫瘍組織内の腫瘍血管密度を検討したところ、Th17細胞を投与したマウスの非小細胞肺癌組織の血管密度は、コントロールのCD4T細胞を投与したマウスの非小細胞肺癌細胞に比較して、血管密度が増加するのに対して、Th1細胞を投与したマウスの非小細胞肺癌細胞は、コントロールのCD4T細胞を投与したマウスの非小細胞肺癌組織に比較して、血管密度が減少することが明らかになった。
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