研究概要 |
ヒト線維芽細胞を用いた肺再生医療への臨床応用に向けた基盤を構築することを目的として、マウスの肺線維芽細胞の起源を評価同定することは非常に重要であると考えられた。若手研究(B)で同定した血管内皮由来線維芽細胞のブレオマイシン誘導肺線維症モデルにおける線維芽細胞への寄与は約16%であった。一方、コントロール群における線維芽細胞への寄与は3.1%で線維症において血管内皮細胞からの誘導があることが示唆された。近年、骨髄由来の血管内皮前駆細胞が組織血管内皮細胞の一部を構成すると報告されていたが、骨髄キメラマウスを作成して骨髄由来血管内皮前駆細胞の関与を検討したが、その関与は1〜2%の範囲であった。このことは、血管内皮細胞由来線維芽細胞は主として肺微小血管内皮細胞から形質転換し肺線維症に寄与することが示唆された。このような肺線維芽細胞の起源の同定は、今後の再生医療を計画する上で非常に重要と考えられた(論文投稿中)。線維芽細胞をiPScellsへ分化誘導する四遺伝子のcloningとしてマウス骨髄細胞を選択した。マウス全骨髄細胞から回収したmRNAをもちいて四遺伝子、Oct3/4,Klf4,cMyc,Sox2はすべて恒常的に発現が確認された。このことは、骨髄細胞に存在する幹細胞の存在が推測される一方、従来同定された幹細胞が上記の四遺伝子を発現しうるかどうかは検討が必要である。現在、四遺伝子をTvectorにcloningしており、発現vectorに組み込む途中にある。今後この遺伝子を線維芽細胞に導入予定である。
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