現在までにHLA-A*0201(白人に最多)およびHLA-A*2402(日本人に最多でその約60%が持つ)拘束性にWT1特異的CTLを誘導できるWT1ペプチドは同定されている。今回、日本人の約15%が持つHLA-A*0206拘束性にWT1特異的CTLを誘導できるWT1ペプチドを同定した。これは、WT1ペプチドワクチンの適応拡大に役立つと期待される。 我々が以前同定したHLA-DRB1*0405拘束性のWT1ヘルパーペプチドWT1_<332>はTh1タイプのWT1特異的ヘルパーT細胞を誘導できる。このWT1_<332>ペプチドが、HLA-DRB1*0405だけでなく、HLA-DRB1*0502、HLA-DRB1*0501など他のHLA class IIタイプにも拘束性にWT1特異的ヘルパーT細胞を誘導できることを示した。これにより、将来、WT1_<332>ペプチドをヘルパーペブチドとしてWT1-CTLペプチドと併用投与する時の適応拡大につながると期待される。 肺癌などの悪性腫瘍に対してのWT1ペプチドワクチン投与症例をさらに蓄積した。 抗WT1抗体の検出される非小細胞肺癌患者はそれが検出されない非小細胞肺癌患者より予後がよいことを示唆する結果を得た。この研究結果は、肺癌の病勢のコントロールにおけるWT1特異的免疫応答の重要性を示唆するものであり、つまり、肺癌に対してWT1ペプチドワクチン治療をおしすすめるrationaleになると考える。
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