研究課題/領域番号 |
19590904
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
光澤 博昭 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40325874)
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研究分担者 |
黒木 由夫 札幌医科大学, 医学部, 教授 (70161784)
清水 健之 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10339137)
西谷 千明 札幌医科大学, 医学部, 助教 (30381255)
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キーワード | コレクチン / 肺サーファクタント蛋白質 / 肺気腫 / マトリックスメタロプロテアーゼ / 自然免疫 / 間質性肺炎 |
研究概要 |
肺サーファクタント蛋白質D(SP-D)による、肺内でのマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の活性制御機構の解明を目的として研究を遂行した. SP-Dノックアウトマウスにおいて、肺内でのMMP活性亢進し肺気腫病変を呈することが従来より示されていたが、本研究により肺内マクロファージからのMMP-9分泌に対するSP-Dの抑制効果の細胞レベルでの機序が明らかとなった。 ラット肺胞マクロファージをSP-D存在/非存在下に培養した際の、細胞外へのMMP-9分泌についてザイモグラム、Western blottingにより測定したところ、SP-D存在下に培養したマクロファージからのMMP-9分泌及びMMP-9活性は強く抑制されていた。 また細胞内の納MP-9蛋白発現についても同様に、SP-D存在下に培養したマクロファージにおいてはMMP-9蛋白発現は抑制されていた. 一方、リアルタイムPCRを用いたMMP-9メッセンジャーRNAの半定量実験では、逆にSP-D存在下で培養を行ったマクロファージの方がMMP-9mRNA発現量が増加していた。 以上のことから、SP-DによるMMP-9分泌抑制は、マクロファージ内のmRNAレベルから蛋白に翻訳される過程に作用していることが判明した. 本研究は、SP-Dが、肺内でのMMP活性を制御することにより、肺の組織恒常性維持に寄与している可能性を示唆するものである.SP-Dは従来より知られてきた自然免疫作用のみならず、肺気腫や間質性肺炎など、MMP活性亢進が病態に関わるような各種呼吸器疾患の発症を抑止する働きを担っている可能性が示唆された。
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