1.硬さセンサーの開発:今回の研究では気管支鏡に挿入可能な硬さセンサーを開発した。センサーは軟性鏡のチャンネルに挿入が可能な太さでかつ柔軟性をもったもので、防水加工され、消毒が可能ででなければならない。先端にセンサー素子を装着し、接触することで硬さを測定可能である。プロトタイプにおいてはほぼ必要な性能を備えたものを作成することに成功した。実際に実験動物に使用したところ、素子の先端の破損がおこりやすいことが判明し、改良に非常に時間を要した。しかし最終的には当初の予定の性能を有したセンサーを作成することができた。また作成ロットでのセンサーの性能にも差がなくなった。 2.硬さの測定:in vitroの測定では、十分に安定した硬さの測定が可能となった。そこで実験動物にて測定を繰り返し行ったが、センサーの対象物への接触の方法により、測定結果が著しく異なることが判明した。接触の強さ、角度が内視鏡を通すことにより一定にはなかなかできなかった。またセンサーを対象物から離す際に大きなノイズが発生するため、測定する硬さの基準点がドリフトすることもあった。センサー先端への粘液の付着なども安定した測定の妨げになることが判明した。これらの問題点は順次解消しており、さらに今後人体へ応用予定である。現在は手術標本にて病変部や健常部での測定を行っている。当初の計画よりも進捗が遅れているが、人体に使用するとなると安定性は勿論、安全性が優先されるため、引き続き基礎的な検討を行ったのちに臨床応用することにしている。現在も研究を継続中である。
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