研究課題/領域番号 |
19590909
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研究機関 | 東北薬科大学 |
研究代表者 |
大野 勲 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (00250762)
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研究分担者 |
桜田 忍 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (30075816)
曽良 一郎 東北大学, 医学系研究科, 教授 (40322713)
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キーワード | アレルギー / 気管支喘息 / 精神的ストレス / グルココルチコイド / Th2サイトカイン / μオビオイド受容体 |
研究概要 |
1.神経-内分泌経路:ストレスとして拘束ストレス7日間連続では、ストレス負荷直後に血中コルチコステロンの上昇がみられるが、負荷回数の増加とともに低下する傾向にあった。一方、3日間拘束ストレス+4日間強制水泳ストレスでは、ストレス負荷直後に血中コルチコステロンの上昇が見られ、且つ低下する傾向はみられなかった。7日間連続拘束ストレスを負荷したμ受容体欠損マウスでは、負荷直後の血中コルチコステロンの上昇は軽度であった。 2.神経-内分泌-アレルギー性気道反応経路:7日間連続拘束ストレス終了後の抗原吸入により惹起される気道炎症とTh2サイトカイン発現(気管支肺胞洗浄液中のIL-4、IL-5、IL-13の含量)(抗原誘発性アレルギー性気道反応)は、ストレス非負荷でのそれに比較し、有意に増悪していた。3日間拘束ストレス+4日間強制水泳ストレスでも、ストレス非負荷に比較し、抗原誘発性アレルギー性気道反応が増悪しており、またその増悪の程度は、7日間連続拘束ストレスの場合より、強かった。一方、μ容体欠損マウスでは、7日間連続拘束ストレス負荷にても抗原誘発性アレルギー性気道反応に有意な増悪はみられなかった。野生型マウスに7日間連続拘束ストレスを負荷する際、各負荷の直前にコルチコステロン受容体拮抗薬を投与したところ、抗原誘発性の気道炎症悪化は消失したが、Th2サイトカイン発現増強は変わらなかった。 本年度の研究により、ストレス負荷の方法により差異はあるもの、ストレス負荷による視床下部-下垂体-副腎皮質系の活性化を介して遊離されるコルチコステロンが抗原誘発性アレルギー性気道炎症を悪化させること、すなわち、ストレスによる喘息悪化のメカニズムとして、神経-内分泌学的経路の関与が初めて明らかにされた。ストレス誘発性喘息の予防・治療対策に重要な情報と考える。
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