研究概要 |
平成19年度は主に培養細胞を用いた研究を行った。ヒト血管内皮細胞(HUVEC)および気道上皮細胞(Bes2b)の培養系を用いて、エンドトキシン(LPS)や腫瘍壊死因子(TNF-α)などの炎症性刺激を加えた際のHIF・1および関連する分子であるVEGF、ET-1、PAI-1の発現を検討した。方法としてはリアルタイムPCR法による遺伝子解析とウェスタンブロット法による蛋白レベルでの解析を行った。HUVE Cでは、:LPS投与6時間後にHIF-1の遺伝子発現が亢進し、VEGF、ET・1, PAI・1についても同様に発現の亢進が見られた。TNF-αによる刺激でも同様の傾向であった。これらの遺伝子発現は炎症性刺激12時間後をピークにし、24時間後にはほぼベースラインに復していた。また蛋白レベルでも同様にHIF-1および関連するVEG:F、ET-1、PAI・1の発現充進が見られた。Bes2bでもLPS投与6時間後にHIF-1の遺伝子発現が亢進し、VEGF、ET-1、PAI-1についても同様に発現の充進が見られ、TNF-α刺激でも同様の傾向であった。次に細胞を低酸素環境に置き、遺伝子発現がどのように修飾されるかを検討した。炎症性刺激後のHIF-1、VEGF、ET-1、PAI-1の発現は、低酸素環境において相乗的に亢進していた。また蛋白の発現でも同様に低酸素刺激と炎症性刺激が相乗的に働くことがいずれの細胞系でも確認された。HIF-1遺伝子のノックダウンのためsfRNAを作成し、培養細胞に導入した。導入後の細胞からRNAを抽出し、HIF-1の遺伝子発現がほぼ消失していることを確認した。現在、導入後の細胞を低酸素環境に置き、:HIF-1および関連する分子であるVEGF, ET 1、PAI-1の発現を検討中である。
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