今年度はラットの適正なフローボリューム(FV)曲線を得るためには、挿管チューブを特別注文の13ゲージ針とする必要のあることが判明した。13ゲージ針の使用と装置の改良により、ヒトと類似した形状のFV曲線を安定して得られるようになったが、下行脚後半相の再現性は不十分であり、解析にはさらなる検討が必要である。メサコリン吸入(0〜4.0mg/ml)による検討で、ピークフローの低下と努力肺活量(FVC)の減少が気道収縮の評価には適するが、0.05秒率と0.1秒率は不適なことが明らかとなった。ボディプレチスモグラフによる追加測定で、FVCの低下は気道収縮に伴う肺の過膨張が原因と考えられた。これらの結果は臨床結果と類似する点と異なる点があり、臨床肺機能検査と小動物検査の比較検討を行う基本資料となるため、2008年度欧州呼吸器学会で発表するとともに論文作成中である。このように測定値の安定と基礎データが確立したため、次いで、Norway Brownラットを卵白アルブミン(OVA)で感作して気管支喘息の実験モデルを作成して、長期経過の観察を開始した。測定にはスパイロメトリーとボディプレチスモグラフを用いた。現在は中途経過であるが、感作後の第2週目にOVA負荷で実験的喘息発作を誘発すると、ピークフローとFVCは対照群と比較して低下し、機能的残気量は増加している。この結果はメサコリン吸入負荷による気道収縮と類似している。今後は観察期間を延長して反応の増減を追跡するともに、実験個体数を増加させて結論を導く予定である。
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