研究概要 |
複数名のサルコイドーシス患者と対照者の気管支肺胞洗浄細胞から、ビーズ法により肺胞マクロファージを分離した。それより抽出したRNAについてoligo DNA microarray(CodeLink, Amersham Biosciences)microarrayを用い、対照と比較する形でサルコイドーシスで強発現している遺伝子を検索した。house keeping geneであるGAPDHより発現比の高い遺伝子の中で3番目に高い発現を示した遺伝子は、CTSSであった。CTSSは主としてマクロファージ系細胞で発現されており、IFN-γによって誘導される。エンドゾーム中で不変鎖の分解を介して、抗原ペプチドがクラスII分子に結合するのを促す役割を有する。HapMap projectの結果を参考に、CTSS遺伝子内にいわゆるtagSNPを2個(rs11576175[イントロン4]とrs10888390[エクソン4])同定した。それらについて遺伝子型を決定し、その意義について195名の対照者と256名のサルコイドーシス患者を対象として症例・対照研究を行った。個別のSNPはサルコイドーシスの発症と相関してはいなかった。しかし、2つのSNPによるハプロタイプ頻度とそれら2つの組み合わせであるディプロタイプ頻度は、全体としてサルコイドーシスと対照群間で有意な相違がみられた。またrs11576175は臨床経過と、rs10888390は罹患臓器数と相関する傾向が認められた。
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