研究課題/領域番号 |
19590940
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
矢尾板 永信 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00157950)
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研究分担者 |
山本 格 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30092737)
吉田 豊 新潟大学, 医歯学系, 講師 (40182795)
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キーワード | 腎臓 / 足細胞 / 細胞間結合 / タイト結合 / スリット膜 / クローディン |
研究概要 |
腎糸球体の表面を覆っている足細胞の細胞間接着装置には、スリット膜とタイト結合がある。これらは糸球体濾過すなわち尿の生成、体液の調整に深く関わっている。生理的な状態では、スリット膜は主体的に存在し、腎炎・ネフローゼなどの病的状態ではスリット膜は減少し、代わりにタイト結合が増加してくる。このようにスリット膜とタイト結合は相補的にダイナミックに変化している。糸球体濾過の調整機序を理解するためには、両者がどのような構成成分でできているのかを知る必要がある。平成19年度の研究成果より、足細胞のタイト結合の構成成分として、クローディン6があることを主に抗体を用いた実験から明らかにした。しかし、クローディン6はラット、マウスには存在するが、ヒトでは検出されなかった。このことから、他のクローディンが存在するものと考え、real time RT-PCRを用いて糸球体での各クローディン遺伝子の発現を定量した。その結果、糸球体にはクローディン5が最も多く、次いでクローディン15が多く発現していることが分かった。in situ hybridizationから、この二つのクローディンは足細胞に発現していることが明らかとなった。最も多いクローディン5について、その局在を免疫電顕で調べてみると、apica1, basalの両細胞膜に分布しており、スリット膜の近傍にも観察された。病的状態では、新たに形成されたタイト結合に有意に多く見つかった。病的状態での変化をWestern blotで検討したところ、有意な増加を示さなかった。これらのことから、タイト結合の形成には、クローディン分子の合成亢進ではなく、すでにあるクローディン分子の分布の変化が強く関係していることが考えられた。すなわち、本研究の結果から、足細胞のタイト結合の形成機序が明らかになってきた。
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