研究課題/領域番号 |
19590941
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
斉藤 亮彦 新潟大学, 大学院・歯学総合研究科, 特任教授 (80293207)
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研究分担者 |
竹田 徹朗 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (10361924)
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キーワード | メガリン / 近位尿細管上皮細胞 / アポトーシス / アンジオテンシンII / インスリン / 分子間相互作用 / Disable-2 / NMHC IIA |
研究概要 |
近位尿細管エンドサイトーシス受容体メガリンは糸球体濾過蛋白の再吸収と代謝に関わる分子であるとともに細胞内シゲナル伝達にも関与し、腎障害の機序においても重要な役割を担う。今年度の成果は以下の通りである。 1)メガリンノックアウトマウスを用いて、糸球体濾過蛋白の増加により引き起こされる近位尿細管上皮細胞傷害はメガリンを介して病的シグナルが伝達されることを明らかにした。すなわちメガリンが発現する近位尿細管上皮細胞において、HO-1やMCP-1が優位に発現するとともにアポトーシスが進行することを明らかにした。 2)培養近位尿細管上皮OK細胞において、メガリンはアンジオテンシンII受容体(AT_1AR)を介するシグナルによって発現が減弱し、さらにその作用はERKシグナル経路によって制御されることを明らかにした。また逆にインスリンはメガリンの発現を維持あるいは活性化する働きがあり、それはIRS/PI3Kシグナル経路を介することを明らかにした。さらにAT_1ARを介するERKシグナルはインスリンにより拮抗され、また逆にインスリン-IRS/PI3KシグナルはアンジオテンシンIIによって拮抗される関係にあることを明らかにした。糖尿病性腎症などにおいては腎内のアンジオテンシンII活性が高まると同時にインスリンシグナル異常が起こることが示唆されており、本成果は、そのような病態におけるメガリンの機能異常や蛋白尿・アルブミン尿発症機序を理解するうえで意義がある。 3)免疫沈降反応や質量分析法を用いて、近位尿細管上皮細胞においてメガリンが細胞内アダプター分子Disable-2(Dab2)を介してnonmuscle myosin heavy chain IIA(NMHC IIA)と分子間相互作用を及ぼしあい、それがエンドサイトーシス機能に関係することを明らかにした。NMHC IIの遺伝子異常は腎障害の進展に関運することが知られており、本知見が賢機能障害の新しいメカニズムの解明につながる可能性がある。
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