研究概要 |
本研究は従来行ってきた、内皮細胞によるメサンギウム細胞の制御の詳細を分子レベルで解明することに加え、メサンギウム細胞による内皮細胞の制御について明らかにすることを目的とし、内皮細胞間、メサンギウム細胞間、メサンギウム細胞-内皮細胞間の細胞接着に関与する因子の動態、及びそれらを介した細胞間情報伝達の詳細を検討することである。本年度は以下の検討を行った。In vitro解析では培養ヒト糸球体内皮細胞をTNF-α, IFN-γ, LPSで刺激し、コネキシンの発現にどう影響するかを蛍光抗体法・ウェスタンブロッティング・リアルタイムPCR法で、またギャップ結合性細胞間情報伝達をDye transfer assayで検討した。コネキシンCx43がLPS, TNFα刺激でmRNA、蛋白ともに増加し、ギャップ結合性細胞間情報伝達も亢進した。IFN-γ刺激ではmRNA、蛋白ともに減少し、ギャップ結合性細胞間情報伝達も減少した。 in vivo解析では抗メサンギウム細胞抗体で作成した実験腎炎モデルを用いて、腎炎発症後0,3,7,14,28日後のコネキシン蛋白・mRNA発現変化を検討した。Cx40,43は腎炎発症後3,7日で蛋白・mRNAともに減少し14日には回復していた。 これらの結果から糸球体での炎症時にコネキシンが変化することが判明した。今後はこのコネキシンの変化に影響を与えることにより腎炎がどのように変化するかを検討する。
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