研究概要 |
我々は,近位尿細管S3セグメント遠位端細胞(標的細胞)が,近位尿細管細胞内の前駆様細胞として障害の回復に重要な役割をなしているとの仮説をたてており,その特性を解明することで尿細管障害の治療に応用可能ではないかと考えている。現在,ラットの近位尿細管S3セグメント遠位端細胞(標的細胞)の単離、培養と前駆細胞特性の検討を試みている。急性腎不全をSDラットに酢酸ウラニウムを静注して惹起し,2-3日後に出現する標的細胞(初期増殖細胞として出現)をBrdUにてパルス標識し,標的細胞を含む腎領域を採取し細胞を単離し,単離細胞を培養した。単離細胞を幹細胞特性を持つ細胞の選別のため,Hoechst33342 dyeでインキュベート後,BrdU陽性細胞(標的細胞)をFACSにてHoechst33342 low staining細胞分画として選別した。 現在,選別細胞のviabilityを保持する検討をしているが,今後,標的細胞の5-FUに対する抵抗性の有無とともに前駆細胞特性を検討する。また,急性腎不全早期に尿細管間質に浸潤するマクロファージの尿細管再生促進作用の検討のため,標的細胞のマクロファージから採取するconditioned mediumに対する増殖活性の有無の検討を予定している。また,この標的細胞を酢酸ウラニウム誘発急性腎不全ラットモデルの腎被膜下への細胞療法への応用を考慮している。
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