研究概要 |
背景 ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群SRNSは、巣状分節糸球体硬化の組織像を特徴とし、とくに小児においては腎不全の主因である。患者QOL改善の観点から、病態の解明が待たれている。研究者らは、すでにアジア人家族性SRNS16家系(日本11、韓国5)、病理組織はFSGS/微少変化群の一次ゲノムワイド連鎖解析スクリーニングを行いで新規陽性候補領域(ロット値2.11)を得た。 目的 遺伝子座の確認と狭小化を試み、アジア人固有の糸球体硬化症遺伝子を探索する。バイオインフォーマティクスを活用し、候補絞り込みを行う必要がある(positional candidate approach)。 方法 Linkage mapping set (high density、Applied Biosystems)を用いて5cM間隔でスキャンするとともに、MarshfieldやdeCode GeneticsのHuman genome mapを参考にしてさらに密に配置することが可能である。100K、500Kマッピングアレイを用いると、マイクロサテライト(100-200kb間隔)より高解像度(5.8-23.8kb間隔)でのマッピングが可能。 結果 新たなSRNS弧発8例(両親、健常同胞を含む)の症例DNAを収集し、マイクロサテライトマーカーを高密度に配置し、ハプロタイプ解析と、GeneHunterプログラムによる連鎖解析をおこなった。候補領域は15cM程度あり、現在約50種類以上の候補遺伝子が存在している。マウス糸球体から全RNAを抽出し、マウス発現チップとのハイブリダイゼーションを行い、組織発現を解析した。現在これらの、糸球体特異的遺伝子に焦点をあて、候補遺伝子のシークエンス解析を予定している。例えば、糸球体発現パターン(GlomChip、Takemoto, et al., www.ebi.ac.uk/)や機能・相互作用、生物学pathway、組織発現の情報を参考にして候補を絞る(Genecards、ww、genecards.org/)。
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