研究概要 |
1.XOR遺伝子欠損に伴う腎障害の機序。 (1)血液中のBUN、Crは生後7日以降上昇し、xanthine,hypoxanthineは生後より血中・尿中高値を認めた。尿生化では電解質排泄亢進を認めたが尿蛋白はむしろ低下し、糸球体障害よりも間質障害が示唆された。 (2)Masson Trichrome染色では生後2週くらいより間質に線維化領域を認めた。 (3)線維化に関与する遺伝子TGF-β,α-SMA,vimentin,CTGFの発現亢進を、real time RT-PCR法・Western Blot法・免疫組織染色を用いて同定した。 (4)炎症に関連するTNF-α,osteopontin,F4/80,gp91phox,MCP1の発現亢進を同様に同定した。 (5)ホモマウスでは、虚血部位に蓄積するpimonidazole、虚血で発現が亢進するHif1αの発現亢進を認めた。 (6)活性酸素に関しては、DNAの酸化障害(8-oxodG)、脂質の酸化障害(4-HNE、MDA)や蛋白質の酸化障害(ニトロタイロシン)産物の蓄積をホモマウスで認めた。 (7)細胞増殖に関してはPCNA,Ki67の発現亢進を、アポトーシスに関してはTUNEL陽性細胞の増加をホモマウスで認めた。 (8)ホモマウスで認めた黄色沈着物は、尿細管管腔内に沈着しOil Red O染色陽性で中性脂肪に富んだ物質であった。脂肪の分化などに関与するC/EBP-α,-β,PPAR-α,-γ、の発現がホモマウスで著明に亢進していた。 (9)ホモマウス由来の尿細管上皮培養細胞は、培養中TGF-β,α-SMA,vimentinなどの発現を伴って線維芽細胞への形質転換を認めた。 XORホモマウスの腎障害の機序としては、XOR遺伝子欠損により1)尿酸欠失、2)尿中キサンチン・ヒポキサンチン排泄亢進、3)脂質異常が惹起され、その結果炎症・酸化ストレス・虚血・細胞増殖・アポトーシスなどが引き起こされる。また、XOR遺伝子欠損により尿細管上皮細胞から線維芽細胞への形質転換も誘導されやすくなり、尿細管間質の線維化が進展し腎障害が引き起こされると考えられた。腎臓におけるXOR遺伝子の役割として、1)マウス腎臓の生後発育に必須。2)脂肪の分化などに関与。3)尿細管上皮細胞の線維芽細胞への形質転換に関与。の3点が明らかとなった。 2.XOR遺伝子欠損と虚血再還流障害。 3.XORマウスバッククロス。 バッククロス終了。今後C57Bl/6Jにバッククロスが終了したマウスを研究に使用。 バッククロス終了。今後C57Bl/6Jにバッククロスが終了したマウスを研究に使用。
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