研究課題/領域番号 |
19590957
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
中山 裕史 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (00363531)
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研究分担者 |
冨田 公夫 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (40114772)
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キーワード | バゾプレッシン / バゾプレッシンV2受容体 / バゾプレッシンV1a受容体 / プロモーター活性 / SP-1モチーフ / アシドーシス |
研究概要 |
最初にバゾプレッシンV2受容体(V2R)が発現しているLLC-PK_1細胞にバゾプレッシンV1a受容体(V1aR)を安定発現させ、V2Rプロモーター活性を測定した。V2Rプロモーター活性はV2R刺激により上昇し、V1aR刺激により低下した。またV2Rプロモーター活性はV2R刺激の下流に位置するPKA刺激でも上昇し、またV1aR刺激の下流にあたるPKC刺激で低下を示した。これらの相反する作用はプロモーター領域のSP1モチーフを欠失させることにより消失した。以上より、V2R発現は転写段階においてV2R刺激により正の、V1aR刺激により負の調節を受けており、V1aR刺激とV2R刺激はPKC、PKA活性を介した相互作用を有することが示唆された。またV2Rプロモーター活性は高浸透圧刺激によって上昇し、V1aR刺激によるV2R発現抑制効果は、高浸透圧下に、より強まることも明らかとなった。この浸透圧刺激によるV2Rプロモーター活性はPKA経路、c-Jun NH2-terminal kinase(JNK)経路を介しており、この作用はSP1モチーフの欠失により消失した(AJP Renal Physiologyに投稿後、改訂中)。腎組織間質においては皮質から髄質に向かって300〜2000mOsm/kg・H_2Oの浸透圧勾配が形成されているが、私たちが示した高浸透圧下でのV1aRとV2R刺激の増幅は、生体内においてV1aRによるV2Rの機能調節が不可欠条件であることを示唆している。現在V2R発現に対するアシドーシスの関与について検討しており、これまでのところ、V2Rプロモーター活性はアシドーシス条件下に上昇し、V1aR刺激によるV2Rプロモーター活性の抑制はアシドーシス条件下に増幅することが分かってきている。
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