研究概要 |
これまで私たちは、V2R発現調節は、転写段階においてV2R刺激により正の、V1aR刺激により負の調節を受けており、V1aR刺激とV2R刺激はPKC、PKA活性を介した相互作用を有することを見出している。さらにその後の検討においてV2Rプロモーター活性は高浸透圧刺激によって上昇することが示唆されたため、さらに研究をすすめ、V1aR刺激によるV2R発現抑制効果が、高浸透圧下に、より増強されることが明らかとなった。私たちは研究成果をAmerican Journal of Physiologyに投稿し、2008年に登載された(Am J Physiol Renal Physiol.295(4):F1170-6,2008)。この浸透圧刺激によるV2Rプロモーター活性はPKA経路、c-Jun NH2-terminal kinase(JNK)経路を介してSP1モチーフが重要であることが明らかとなった。腎組織間質においては皮質から髄質に向かって300〜2000mOsm/kg・H_2Oの浸透圧勾配が形成されているが、私たちの研究成果により、高浸透圧下でのV1aRとV2R刺激の増幅は、生体内においてV1aRによるV2Rの機能調節が不可欠条件であることが証明された。また昨年度はV2R発現に対するアシドーシスの関与について検討を進めた。本研究によりV2Rプロモーター活性がアシドーシス条件下に著明に上昇し、V1aR刺激によるV2Rプロモーター活性の抑制はアシドーシス条件下に増幅することが証明された。現在本研究成果はAmerican Journal of Physiologyに投稿中である(revise中)。
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