研究概要 |
本研究では、ヒト有機アニオントランスポーター(OAT)-1、OAT-3、OAT-4を導入したヒト由来培養尿細管細胞を作成する。また、IS以外の様々なアニオン型尿毒症性物質が動脈硬化に直接関与するか否かについても明らかにする。本年は以下のような結果を得た。 1) OAT-1、-4共発現細胞の調整 ヒト近位尿細管由来初代培養細胞をSV40感染により不死化させ、ヒトOAT-4遺伝子を含む発現ベクターを導入一する。定法に則り薬剤耐性マーカーを指標に、OAT-1,4安定高発現細胞をクローニング得た。コントロールとして、OATs遺伝子を含まないベクターを導入した細胞を用いる。得られた細胞は、Transwe11上に培養し、アイソトープラベルしたIS、CMPF、PAHの一方向性経上皮輸送能を測定したところ、対照細胞に比較して2.5、5.2、9.4倍の薬物輸送活性をもつ細胞が得られた。 3) IS以外のアニオン型尿毒症性物質の血管平滑筋細胞増殖能への影響の検討 ラット大動脈由来の血管平滑筋初代培養細胞を用いて、IS、CMPFを添加し24時間時点で3H-チミジン取り込み能およびWST-1アッセイを用いて細胞増殖能を測定し、溶媒群と比較した。ISのみならずCMPFも3H-チミジン取り込み能を促進することが判明した。
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