前年度までの研究から、腎糸球体に発現するBMPは糸球体血管係蹄の発生過程に大きく寄与している可能性が示唆された(JASN 2008 in press)。本年度はその作用機序をより詳細に明らかにすべく以下の検討を行った。 1、Nephrin-VEGF TG は embryoあるいは出生早期に致死性を示すことが判明したため、本年度から誘導可能な糸球体上皮細胞特異的VEGFTGの作成を開始している。Effector lineであるNephrin-rTTAは共同研究中の東海大学総合医学研究所松坂泰二氏から供与を受ける予定であり、現在responder lineであるTRE-VEGF の発現cassetteを構築中である。またNogginおよ びBmp4に関しても同様にTRE-Noggin、TRE-Bmp4の作成を開始、前者に関しては最終 construct が完成し、sequenceで確認中である。 2、Trevigen社から購入したangiogenesis assay kitを利用し、マウス皮下組織におけるangiogenesisに対するVEGFとBMP4の作用を検討する。今年度はbasement membrane extract を包含したangio-reactor をマウスの皮下組織に設置しangiogenesis を検討したところ、VEGF+FGF は dosedependentに血管内皮細胞の遊走を促進した。この系を利用し、BMP4の同時添加による血管内皮細胞の遊走を検討中である。 3、本年度は初代培養糸球体内皮細胞を取得した。現在維持培養中であり、MMTassay等によりVEGFによる増殖促進作用を確認した。この系にBMP4を同時添加し、その増殖阻害作用につき検討中である。
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